信州大学医学部 耳鼻咽喉科学教室

新着情報

「きこえと遺伝子(改訂第2版)」を出版いたしました

きこえと遺伝子

2006年に発刊され、難聴医療に変革をもたらした「きこえと遺伝子」が10年目にして大改訂を行い、リニューアルされました。総ページはほぼ倍の192ページとなり、この10年の目覚ましい進歩を物語っております。

改訂版では遺伝子解析の最新技術、遺伝カウンセリング、臨床で見出される難聴遺伝子についての最新の情報を盛り込み、難聴の遺伝子医療に必要な知識を網羅いたしました。

今や遺伝子診断は難聴医療に携わる上で、必要不可欠なツールとなっております。難聴の遺伝子解析について詳しく知りたい方は是非ご一読ください。

「きこえと遺伝子」
宇佐美真一 編 金原出版(ISBN978-4-307-37111-7)
定価:¥3,800+税

序文
難聴は言うまでもなく症状名であり診断名ではない。内科医が腹痛という症状の原因を調べ最適な治療を考えるのと同様に、耳鼻咽喉科医が難聴という症状の原因を調べ、原因に応じた最適な医療を提供するのはごく自然な診療プロセスである。難聴の遺伝子診断は先進医療を経て2012年から保険診療として日常臨床で実施できるようになった。遺伝子診断により難聴児の原因が科学的に解明され、難聴の程度の予測、進行性の有無、合併症の推測、各々に適したオーダーメイド治療や予防について有用な情報が得られるようになっている。さらに、次世代シーケンサーを用いた遺伝子診断の実用化も進められ、臨床現場で用いるところまで来ている。
治療面では人工内耳の登場によって重度難聴の患者でも聴覚を利用して言語を習得することが可能になった。2014年にはわが国の小児人工内耳の適応基準が改定され、手術の低年齢化、両耳装用に加え、遺伝子診断が適応基準に追加された。人工内耳の効果には年齢を始め多くの因子が関与しているが、原因が内耳に存在することが明らかとなれば、人工内耳の効果が期待できることから、遺伝子診断は人工内耳の適応や効果予測にも重要であることが明らかになった。
本書は2015年5月に開催された第116回日本耳鼻咽喉科学会の宿題報告「難聴の遺伝子診断とその社会的貢献」でまとめられたモノグラフを「きこえと遺伝子」の改訂版として出版したものである。旧版の出版から10年近くが過ぎたが、この間の難聴の遺伝子診断の進歩には目覚ましいものがある。この改訂版では遺伝子解析の最新技術、遺伝カウンセリング、臨床で見出される難聴遺伝子についての最新情報を盛り込み、難聴の遺伝子医療に必要な知識を網羅した。
我々が提案、実践してきた「遺伝子診断を軸にした難聴医療」が今後全国で定着し広まっていくことを期待している。
2015年6月
宇佐美 真一