信州大学医学部 耳鼻咽喉科学教室

内耳にやさしい人工内耳- 専門外来 -

従来は内耳に電極を挿入することにより、もともとの内耳機能は失われてしまうと考えられていましたが、侵襲の少ない手術を行うことによって内耳の機能や構造をそのままに残せることが明らかになってきました。

特に幼小児の場合、その先70~80年使用することを考えると聴神経の保護には特に気を遣わなければなりません。さらに将来的により高機能のインプラントへの交換の可能性、あるいは今後開発される遺伝子診断、再生医療といった新たな治療法の適応になる可能性も視野に入れ、内耳の構造や機能を正常なまま残しておく手術を行うことが重要です。また、内耳に対する侵襲の少ない手術は、聴覚ばかりでなく平衡機能も正常なまま保存出来ることが明らかになってきています。

信州大学ではそのような理由からすべての人工内耳手術の際に「内耳にやさしい」人工内耳手術を取り入れています。

信州大学では低音部の残存聴力を活用する残存聴力活用型人工内耳(EAS)を高度医療として申請し、2014年7月に保健医療として提供できることになり、適応のある方に対して積極的に行っております。EASでは低音部の聴力をいかに温存させるかが重要なポイントとなります。

この考えは残存聴力のある患者さんのみでなく、すべての人工内耳手術を行う際に重要になる考えです。全周波数にわたり残存聴力のない重度難聴患者さんに対する通常の人工内耳を実施する際にも、低侵襲手術を行い、手術に引き続いて起こる内耳障害を予防することは、長期的な聴神経の変性を予防する意味からも重要であると考えられています。