信州大学医学部 耳鼻咽喉科学教室

「きこえと遺伝子 2」- 難聴の遺伝学的検査 -

きこえと遺伝子2

「きこえと遺伝子」の続刊となるケ-ススタディ集です。平成 24 年度の診療報酬改定にて、先天性難聴の遺伝子診断が保険診療として認められました。今後、遺伝子診断は難聴の診断・治療、療育を考えるうえで必要不可欠な診断ツ-ルとなることが予想されます。信州大学医学部附属病院では、これまでも難聴の遺伝子診断を軸とした難聴医療に積極的に取り組んで参りました。

いま臨床現場が知りたい診断・治療・遺伝カウンセリングのノウハウを症例を提示しながら紹介しております。難聴の遺伝子医療について詳しく知りたい方は是非ご一読ください。

「きこえと遺伝子 2」
宇佐美真一編 金原出版(ISBN 978-4-307-37106-3)
定価:¥3,800+税

序文
「難聴」は症状名であり診断名ではない。長い間難聴は原因不明の疾患としてひとまとめに扱われてきたが、近年のヒトゲノム解析研究の発展により、多くの原因遺伝子が同定されるようになり、もはや難聴は原因不明の疾患ではなくなった。遺伝子診断によるサブタイプ分類を行い、個々の症例に最も適した治療戦略を立てる個別化医療が可能になってきた。先天性難聴の遺伝子診断は 2008 年に先進医療として認められ、さらには 2012 年 4 月から保険診療として臨床現場で実施できるようになった。現在、新生児聴覚スクリ-ングによって難聴児が早期に発見され、人工内耳の発達によって高度難聴児でも聴覚を活用しての言語発達が可能になってきた。今後、遺伝子診断を軸にした新しい難聴医療が展開されることが予想される。
耳鼻咽喉科専門医や臨床遺伝専門医をはじめ、難聴児を取り扱うコメディカルにとっても遺伝子診断は難聴の診断や治療を考える上で必要不可欠な診断ツ-ルとなることが予想されるが、個々の症例に対してどのように利用したらよいのか、あるいは説明やカウンセリングに際しどのようなことに注意したらよいのかといった経験の蓄積がまだ十分でないと思われる。信州大学病院では、従来から難聴の遺伝子診断を軸にした難聴医療を展開してきたが、今回の保険収載を機に、我々の経験した症例を中心にケ-ススタディ集としてまとめさせていただいた。本書では、実際に難聴遺伝子診療外来で行われている「難聴カウンセリング」と「遺伝カウンセリング」の紹介と、その際に忘れてはならない重要なポイントを中心に解説した。「きこえと遺伝子」と合わせ、難聴の遺伝子医療を実践する際に活用していただければ幸いである。
2012年9月
宇佐美 真一